倭太鼓 飛竜

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2024.10.01

飛鳥峯英~一打祭に寄せて~

飛鳥峯英~一打祭に寄せて~

一打祭に寄せて

1998年に倭太鼓飛龍を結成しました。
結成したといっても、プロダクションの後ろ盾や、同業の横の繋がりなど何もない状態でのスタートでした。
そんな中、大阪府堺市文化振興財団が「100万円で創る自由空間」という企画を打ち出しており、採用されると100万円の賞金が出るというものでした。
右も左も分からない中、ましてや自身の倭太鼓飛龍として自主公演できる力も無かった当時の私が考え抜いたものが「一打祭~ニッポンの太鼓100台による響宴」でした。
自分らだけでは力不足なのを大いに理解していた当時の私は、人を100人集めることで「数こそ力」を信じ、企画したものが1位に入賞しました。
今でこそ、一つの公演を企画すると、どれだけの経費が掛かり、どれだけの準備期間や稽古が必要なのか、おおよその概算は出来ますが、当時は何も分からず、すべてに必死でした。
その翌月から公募で集まった老若男女100名と約半年間に亘る毎週土日の稽古が始まりました。
毎週顔を突き合わせていれば顔と名前は勿論の事、家庭環境や様々なものまで見えてきます。
そんな中で迎えた本番は、それまで積み上げてきた芸能活動の根底を覆すほど素晴らしい作品になったと自負しています。
一打祭は、日本古来の「お祭り」のようなコミュニティ効果を生み出し、地域、年齢、性別を超えた所で繋がる事が実感できたのである。

その後、倭太鼓飛龍はそれらの経験を活かし関西を拠点に活動を続けてきたが、2020年コロナが起こった・・・。
世界中が恐怖に包まれ、一部の職種に至っては全く見通しが付かない程、その活動の場を奪われ、収入を失った。
我々、芸能に携わる者もそうであった。

世の中が落ち込んでいる時、苦しんでいる時こその芸能であると思ってきた私にとって、手も足も出ない状況が続いたのである。
そんな中、それまで聞いた事の無い言葉「リモート」が日々のニュースなどで飛び交いだしたのである。
人が集まってはダメ。劇場は使用できない。芸能に携わる者たちは活動の場を奪われていたが、「集まれないのなら繋がってやれ」と思い、リモートで行う一打祭を企画した。
デジタルに精通していない私なりに理解したことは、リモートとは「離れている人と隣に居る様に会話ができる・・・」という事。
それならば、海外の人達も巻き込んでしまいたいと思ったのである。
私の発案にメンバーやスタッフ達は未経験の作業に戸惑いながらも動き出し、文化庁の助成金にも助けられ2022年、日本の劇場に和太鼓100台と世界8か国11チームの参加者が繋がり、「100人太鼓 風の宴」を演奏することが叶った。
外国語の分からない私を含めた殆どの参加者が感じた事・・・。
音楽はノンバーバルで有り、人と人の思いを繋ぐことが出来るという事で有った。
日本での演奏者、リモートで繋がった外国の人達、すべての人が笑顔になったので有る。
その経験を基に2023年には12か国17チームが集まり一打祭を開催することが出来た。その時のサブテーマが「隣に居る大切な人と手を繋ご」で有る。

2025年関西万博が開催され、関西は世界中の注目を浴びます。
そこで世界中をリモートで繋ぎ、世界同時刻に笑顔にしようと一打祭は動き出します。

どうか多くの方にご覧頂けますよう心からお願いを申し上げます。

 

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飛鳥峯英